エジプト東部シャルムエルシェイクで開かれている国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で、英国やドイツ、オランダなど欧州各国が相次いで、開発途上国の気候変動対策への支援を打ち出している。地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」では、2020年までに先進国が途上国に年間1,000億ドルを支援することが決まったが、この合意はいまだに達成されていない。COP27では気候変動による途上国の「損失と被害」への補償が正式議題となっており、途上国からの圧力が強まっている。
英国のスナク首相は7日、途上国のクリーンエネルギー技術開発に向けて研究者に助成金を提供する「クリーン・エネルギー・イノベーション・ファシリティー」に追加で6,550万ポンドを拠出すると発表。また、ケニアやエジプトのクリーンエネルギー関連プロジェクトに大規模な投資を行う方針も示した。
さらに、コンゴ盆地やアマゾンの熱帯雨林保護などに1億5,000万ポンドを拠出するほか、国際気候ファイナンスの予算116億ポンドの枠内で、途上国の気候変動への適応支援を19年の5億ポンドから25年には3倍の15億ポンドに拡大するとしている。
一方、途上国の「損失と被害」への補償基金に資金を拠出する国も増えている。この基金は昨年にグラスゴーで開かれたCOP26で、スコットランド自治政府が打ち出したもの。当初はスコットランドとデンマーク、ベルギーのオランダ語圏しか参加を表明しなかったが、欧州連合(EU)政策専門サイトのユーラクティブなどによると、COP27ではベルギーが250万ユーロ、オーストリアが5,000万ユーロを拠出する方針を明らかにした。
このほか、ドイツは気候リスクに対する「グローバル・シールド」に1億7,000万ユーロを拠出すると発表。この基金は主要7カ国(G7)が気候変動の影響が最も大きい20カ国に支援を行うもので、COP27での正式な立ち上げを予定する。また、オランダはアフリカ諸国の気候変動への適応を支援する「アフリカ適応加速プログラム」に1億ユーロを提供するとしている。[環境ニュース]
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