イタリアで22日、極右政党「イタリアの同胞」と右派「同盟」、中道右派「フォルツァ・イタリア」による連立政権が事実上発足した。首相にはイタリアの同胞のメローニ党首(45)が就任。同国初の女性首相が誕生した。第2次世界大戦後で最も右派色の強い政権となるが、メローニ氏は懸念払拭(ふっしょく)のため穏健派を要職に起用。国際的なパートナーと緊密に協力する姿勢を示している。
閣僚24人のうち、9人はイタリアの同胞から起用。同盟とフォルツァ・イタリアからは5人ずつ入閣した。経済財務相には、同盟の中でも穏健派で親欧州連合(EU)寄りとされるジョルジェッティ前経済開発相が就いた。外務・国際協力相兼副首相には、欧州議会議長や欧州委員会委員を務めた経験を持つフォルツァ・イタリアのタヤーニ副党首を起用。「同盟」を率いるサルビーニ書記長は、インフラ・運輸相兼副首相に就任した。なお、女性閣僚は6人にとどまった。
イタリアの同胞は、ファシズム指導者ムッソリーニの支持者によるネオ・ファシズム運動の流れをくむ。メローニ氏はこれまで、反移民、反LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の姿勢を示してきたが、選挙戦ではウクライナ支援を強調し、EUに懐疑的な態度も和らげた。
サルビーニ氏やフォルツァ・イタリアを率いるベルルスコーニ元首相は親ロシア寄りとされ、親露勢力の政権参加を不安視する声もある中、メローニ氏は就任後、ウクライナとの連帯をあらためて強調。北大西洋条約機構(NATO)についても、「軍事同盟以上の存在であるNATOと協力する準備ができている」と前向きな姿勢を示した。
メローニ氏は近日中に、議会での信任投票を経て正式に新政権を発足させる見通し。
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