米国の金融情報サービス大手S&Pグローバルは3日、9月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が48.4になったと発表した。速報値から0.1ポイント下方修正され、前月からは1.2ポイント低下。過去27カ月で最低に沈んだ。景気の「改善」と「悪化」の境目である50を3カ月連続で下回っている。
調査対象国のうち、オランダは49と、過去26カ月で最低を記録。スペインも49に下がった。半面、アイルランドは51.5に上昇。ギリシャは49.7と過去3カ月で最も高く、イタリアは48.3に上がった。オーストリアは48.8で前月から変化がなかった。
ユーロ圏経済をけん引するドイツは47.8と、速報値から0.5ポイント引き下げられ、前月からは1.3ポイント低下。過去27カ月で最も低い。生産高の減少幅は過去3カ月で最小となったが、新規受注の落ち込みは20年5月以降で最も加速。雇用の伸びは、過去19カ月で最小だった。
フランスは47.7と、速報値から0.1ポイント下方修正され、前月からは2.9ポイント低下。分岐点を下回り、過去28カ月で最低となった。生産高は4カ月連続で縮小し、新規受注も減少。景況感は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の初期以来、初めて悲観的な領域へと落ち込んだ。
ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、生産高は4カ月連続で縮小。新規受注の落ち込み幅は2020年5月以降で最大となった。仕入れ価格と出荷価格は4月以降で初めて伸びが加速した。
S&Pグローバルのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、「製造業の景気後退とインフレ圧力の上昇という組み合わせは、ユーロ圏経済の見通しに対する懸念をさらに高めるだろう」と指摘。ユーロ圏の製造業がこれほど大規模な需要と生産の縮小を経験したのは、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期のロックダウン(都市封鎖)の期間を除くと、金融危機の最中にあった2009年初頭以来だと説明した。また、コスト上昇と需要減退により、企業見通しは大幅に悪化し、投入資材の買い控えや雇用の減少につながったとした。
■英は分水嶺割れも上昇
S&Pグローバルによると、9月の英国の製造業PMIは48.4となり、前月から1.1ポイント上昇。ただ、景気の「改善」と「悪化」の境目である50は2カ月連続で下回っている。生産高と新規受注の落ち込み幅はいずれも前月から緩和したが、輸出向けの減少幅は20年5月以降で最大となった。雇用は引き続き伸びている。
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