欧州連合(EU)は9月30日にエネルギー相会合を開き、エネルギー価格高騰への対策案で合意した。利益が急増している再生可能エネルギー事業者や原発事業者、石油・ガス会社から一定水準を上回る利潤を徴収し、電力・ガス料金高騰で打撃を受けている家計や企業の支援に充てる内容。また、加盟国に電力消費量の削減を法的に義務付ける。
欧州では、ロシアのウクライナ侵攻を受けたガス価格高騰を背景に電力料金が上昇。発電コストの低い再生可能エネルギー事業者などは棚ぼた式に高利益を上げている。こうした企業の売り上げに対しては、1メガワット時当たり180ユーロの上限を課し、超過分を徴収する。
原油や天然ガス、石炭、製油を手がける企業に対しては、今年度または来年度の課税対象利益が2018年以降の平均利益を20%以上、上回った場合、超過分を徴収する。
光熱費高騰の打撃を受ける中小企業への支援策としては、電力料金に一時的に上限を設定する。
これらの措置は12月1日から23年12月31日までの時限措置とする。
一方、加盟各国は、需要ピーク時に電力消費量を5%削減することを法的に義務付けられる。電力料金が最も高い時間帯の10%に当たるピーク時間帯を指定し、その間の電力消費量を抑えることにより、電力料金の上昇を回避する狙い。この措置は、12月1日から23年3月31日まで実施される。
これらの措置は、9月半ばに欧州委員会が提案していたもので、10月上旬に正式な承認を得た上で、官報掲載を経て施行される予定。
なおロイター通信によると、EUは今後、エネルギー価格抑制に向けた追加措置を検討する見通し。ガスの卸売価格に上限を設定する案も浮上しており、加盟15カ国がこれに賛成しているが、ドイツは反対しているという。[環境ニュース][EU規制]
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