欧州委員会は28日、ロシアに対する新制裁案を発表した。露軍が支配するウクライナ東南部4州で、ロシアへの編入の是非を問う住民投票が行われたことを受けた措置。露産石油の取引価格に上限を設ける案などが含まれている。EU加盟27カ国は週内にもこの制裁案について協議する見通し。
第8弾となる今回の制裁では、主要7カ国(G7)が既に原則合意しているロシア産石油価格の上限設定を法制化する方針。これにより、ロシアの輸出収入削減と国際的なエネルギー価格の安定を狙う。EUは既にロシアからの石油輸入禁止で合意しており、12月5日にはまず海上輸送による輸入が打ち切られるが、今回の措置により開発途上国がより安価で露産石油を入手できるとしている。
また、ロシアからの輸入禁止の対象となる製品リストを拡大することにより、同国の輸出収入をさらに70億ユーロ削減する。EUからの輸出禁止措置も強化し、航空関連や電子部品、化学品などの分野に加え、サービス分野でも対象リストを拡大する。
制裁対象となる個人・団体には、ロシア軍が支配するウクライナ東南部4州の親露派当局者や、ロシア国防省高官、同国への武器供給者、部分的動員の関係者、偽情報の拡散者を追加。対象リストは1,300個人・企業に拡大される。
加えて、制裁回避の防止に向け、抜け道を利用して制裁対象の取引を行おうとする企業や個人も、今後は制裁対象リストに追加するとしている。
フォンデアライエン欧州委員長は「ロシア占領下で行われた偽装住民投票は、領土を掌握し、力づくで国境を書き換えようとする違法な試み」と非難。兵力増強に向けた部分的動員や、プーチン大統領による核兵器使用の示唆もあり、「ロシアはウクライナ侵攻を新段階にエスカレートさせている」と指摘した。
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