欧州連合(EU)は5日、加盟各国が天然ガス消費量を自主的に15%削減する新規則で正式に合意した。8月1日から来年3月末までのガス消費を過去5年間の平均値から15%減らす。この削減目標に法的拘束力はないものの、供給不足が深刻化した場合は義務化の可能性もある。ロシアからの供給が落ち込む中でガス備蓄を増やすことが狙いだが、ポーランドとハンガリーは最後まで反対した。
この規則案は欧州委員会が7月下旬に提案したが、複数の国が反発。これを受けてオプトアウト(適用除外)を盛り込んだ上で、EUエネルギー相会合で承認されていた。
オプトアウトの対象となるのは、他の加盟国とガス網が接続されていない国や、ガス備蓄が目標を上回っている国など。また、重要産業がガスに依存している場合や、昨年にガス消費量が大幅に増えた国なども目標緩和を申請できる。供給不足が深刻化すれば欧州委が削減目標の達成を義務付けることもあり得るが、この場合は加盟国の過半数の賛同が必要となる。
ロイター通信によると、ハンガリーは一貫してこの案に反対しており、加盟国のエネルギー構成やエネルギー安全保障に影響を及ぼす規則をEUが課すことの合法性に疑問を呈していた。ハンガリーはガス需要の85%をロシアからの輸入に依存し、現在、ロシアとガス供給の拡大に向けて交渉を進めているとされる。
一方、やはり当初からこの案に反対していたポーランドは、先のエネルギー相会合では賛成票を投じたものの、この日の最終採決では再び反対に回った。加盟国のエネルギー構成に影響を及ぼす決定は、全会一致で下されるべきと主張している。
新規則は1年間にわたり有効で、欧州委は来年5月までに延長の必要性を検討する。[EU規制]
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