米国の金融情報サービス大手S&Pグローバルは1日、7月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が49.8になったと発表した。速報値から0.2ポイント上方修正されたものの、前月からは2.3ポイント低下。景気の「改善」と「悪化」の境目である50を25カ月ぶりに下回った。
調査対象国のうち、オランダは54.5と過去20カ月で最低を記録。ギリシャは49.1、スペインは48.7と、それぞれ過去19カ月、過去26カ月で最も低い。イタリアは過去25カ月で最低の48.5だった。半面、オーストリアは51.7に上昇している。
ユーロ圏経済をけん引するドイツは49.3と、速報値から0.1ポイント引き上げられたが、前月からは2.7ポイント低下。過去25カ月で最も低い。生産高と新規受注は共に20年5月以降で最大の落ち込みを記録。雇用の拡大ぺースは過去4カ月で最も減速した。
フランスは49.5と速報値から0.1ポイント下方修正され、前月からは1.9ポイント低下。過去26カ月で最低だった。生産高と新規受注の縮小幅はいずれも20年5月以降で最も大きい。雇用の伸びは過去10カ月で最小となった。
ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、生産高は2カ月連続で縮小。新規受注の減少幅は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の期間を除くとユーロ危機の最中だった12年以降で最大となった。輸出向けの落ち込みも加速している。仕入れ価格と出荷価格の伸びはそれぞれ過去17カ月、過去15カ月で最小だった。
S&Pグローバルのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、「ユーロ圏の製造業はさらに急降下し、景気後退リスクに拍車をかけている」とコメント。新規受注はさらに悪化する可能性があると指摘している。また、新規受注と輸出の落ち込み加速を反映し売上高は予想を下回っており、在庫が過去最多水準に達していると説明。この結果、減産や、中間財の購入や雇用を縮小する生産者が増加しているという。
■英は低下も分岐点越え
S&Pグローバルによると、7月の英国の製造業PMIは52.1となり、前月から0.7ポイント低下。過去25カ月で最も低い。ただ、景気の「改善」と「悪化」の境目である50は26カ月連続で上回っている。生産高は20年5月以降で初めて減少。新規受注は2カ月連続で減り、うち輸出向けは6カ月連続のマイナスとなった。雇用の伸びは過去3カ月で最大だった。
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