国際通貨基金(IMF)は26日に発表した世界経済見通しで、ユーロ圏19カ国の今年の域内総生産(GDP)成長率予測を4月時点の2.8%から2.6%へと下方修正した。ロシアによるウクライナ侵攻の影響に加え、欧州中央銀行(ECB)が従来の資産購入プログラムを終了し11年ぶりの利上げに踏み切ったことから、経済活動の抑制が見込まれるため。一方、英国の来年のGDP成長率については主要7カ国(G7)最低の0.5%と予想し、大きく0.7ポイント引き下げた。
今年のGDP見通しを国別に見ると、ドイツは前回から0.9ポイント下方修正し、1.2%とした。フランスは2.3%、スペインは4%と、それぞれ前回から0.6ポイント、0.8ポイント引き下げた。半面、イタリアは観光業や産業活動の改善が見込まれることから、0.7ポイント上方修正し、3%とした。
来年のユーロ圏の成長率は1.2%と、さらに減速すると予想。前回見通しから大きく1.1ポイント引き下げている。
英国の今年のGDP成長率見通しは3.2%で、前回予想から0.5ポイント下方修正。下半期(7~12月)から著しく減速すると見込んでいる。
IMFは今回、下振れリスクが顕在化しつつあり、世界経済がリセッション(景気後退)に陥る可能性を指摘。ロシアの石油輸出量が基本シナリオより30%減少し、ロシアから欧州への天然ガス供給が年内にゼロまで落ち込むことに加え、インフレ期待が継続的に上昇し、インフレに伴う金融引き締めと投資家の懸念を受け経済活動が抑制された場合の代替シナリオを発表した。これに基づいたユーロ圏の来年のGDP成長率は、ゼロ%に近いとしている。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。