ドイツ政府は21日、ガス消費量を削減するためのエネルギー安全保障策を発表した。企業に対する省エネ策導入の義務化や一般家庭の省エネ促進、ガス貯蔵量の拡大などを掲げている。政府はこれに基づいて必要な法整備を進める。
国内のガス消費量は今年に入り、昨年比で5~7%減っているものの、欧州委員会が提示した15%の削減目標を大きく下回る。連邦ネットワーク庁(BNetzA)のクラウス・ミュラー長官は「ガス不足を回避するには国内全体で20%の削減が目標になる」と指摘する。
対策として、ガス貯蔵量を今年9月1日時点で容量の75%とする新たな目標を示し、10月1日時点の目標を従来の80%から85%に、11月1日時点には90%から95%にそれぞれ引き上げる。また、政府は既に石炭火力発電所の稼働を増やすことを決めているが、褐炭火力発電所の稼働を再開することで1.9ギガワットの発電容量を確保するほか、褐炭の備蓄を進める。
省エネでは、年に10ギガワット時以上のエネルギーを消費する企業を対象に、具体的な省エネ策の導入を義務化する。また公共施設でのガス消費を削減する措置を進めるとともに、一般家庭に対しては省エネを呼び掛け、設定温度の変更や暖房器具の点検や見直しなどを求める。
ハーベック副首相兼経済問題・気候保護相は「ロシアはエネルギーシステムにおいて不確定要素であることが明らかになっている」として、ロシア産ガスへの依存から脱却することを強調。6月に結成し、消費者団体や企業、地方自治体などで構成される「省エネアライアンス」を改めて招集し、さらなる効率化に向けた対策を協議する方針も示した。
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