国際通貨基金(IMF)は19日、ロシア産天然ガスの供給が停止すれば、一部の中東欧諸国やイタリアは深刻な景気後退に陥り、国内総生産(GDP)が最大6%超押し下げられるとの見方を明らかにした。
IMFは、欧州連合(EU)がロシア産ガスに替わる液化天然ガス(LNG)の国際市場での調達や加盟国間での共有、価格の抑制などに失敗した場合、ハンガリーではGDPが最大6%超押し下げられると予想。スロバキアとチェコ、イタリアのGDPも、それぞれ最大5.5%前後、押し下げられるとみている。
この背景には、ハンガリーはロシア産ガスへの依存度が40%超、チェコとスロバキアでは30%超と高く、イタリアではガス火力発電の比率が高いことがある。
IMFは、ロシアがガス輸出量を7割減らしてもEU経済は短期的に持ちこたえることが可能だが、輸出が完全に打ち切られた場合、代替ガスの調達やエネルギー源の多様化が間に合わず、これら4カ国では供給が需要を15~40%下回ると予測している。
また、ロシア産ガスの供給減で、EUのGDPが第1四半期(1~3月)に既に0.2%押し下げられたとみている。
IMFは各国政府に対し、さらなる打撃の緩和に向け、国際市場や代替供給国からのLNG確保や、輸入インフラのボトルネック解消、緊急の域内ガス共有体制の整備、断固とした省エネ政策の実施、貧困層の保護、ガスのスマート配給制度の準備に取り組むよう促している。
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