イタリアのドラギ首相は14日、マッタレッラ大統領に辞表を提出した。この日、元老院(上院)で行われた内閣信任投票で、連立政権の一角を担う左派の「五つ星運動」が棄権したため。しかし、マッタレッラ氏は辞表の受理を拒否し、ドラギ氏に議会で問題解決を図るよう求めている。
ドラギ氏は辞意表明に当たり、「政権を支えてきた挙国一致の多数派は今や存在しない」と説明。「就任時から、信任を得た政策を遂行できる明確な見通しがある場合にのみこの政権を続けると述べてきたが、もはやこの条件に当てはまらない」としている。
マッタレッラ氏はこれを受け、ドラギ氏に議会で説明し解決を図るよう求めた。ドラギ氏が望めば、五つ星運動の支持なしに新政権を樹立することは可能とみられているが、同氏はこれまで、五つ星運動なしに政権運営は続けられないと繰り返していた。
問題の発端となった信任投票は、一般世帯や企業に対する230億ユーロ規模の経済支援策の承認に当たり実施された。インフレ加速を背景としたこの支援策は、先に代議院(下院)を通過したものの、五つ星運動はかねて複数の条項に反対を表明していた。
なお、五つ星運動の党首であるコンテ前首相はかねて、ウクライナへの武器供与を巡りドラギ氏に反対。一方、かつて党首も務めたディマイオ外務・国際協力相はドラギ氏を支持し、先には数十人の議員を連れて離党した。同党は2018年の前回選挙で第1党となったものの、度重なる党内の不和により議席を減らし、第2党に転落。世論調査での支持率も11%程度まで落ち込んでいる。
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