欧州議会は7日、欧州連合(EU)域内の空港で使用される航空燃料を大幅にグリーン化する法案を、334対95の賛成多数で可決した。法案は欧州委員会の提案をさらに厳格化し、2050年までに持続可能な航空燃料(SAF)の割合を85%に引き上げるよう求めている。今後はEU加盟各国の承認を得る必要があり、この交渉は9月に始まる見通し。
欧州委員会は21年7月、温室効果ガスの排出量を30年までに対1990年比で55%削減する目標の達成に向けた政策パッケージ「フィット・フォー55」の一環として、航空燃料のグリーン化法案を提案した。当初の案では、SAFの割合を2030年までに5%、50年までに63%に引き上げるよう義務付けるとしていた。
欧州議会はこの目標を大幅に厳格化し、SAFの割合を25年までに2%、40年までに37%、50年までに85%に引き上げる目標を打ち出した。また「eフューエル」と呼ばれる合成燃料の割合についても、欧州委案では50年までに28%とするよう義務付けていたが、欧州議会案ではこの目標を50%に引き上げた。
eフューエルは再生可能エネルギーを使って水を水素と酸素に分解し、この水素を炭素と結合させて作り出す合成燃料のことで、「パワー・トゥ・リキッド(PtL)」とも呼ばれる。
一方、欧州議会はSAFの定義を拡大。欧州委の案では、eフューエルのほかEUが規定する原料を使用したバイオ燃料のみをSAFとして認めていたが、欧州議会案では、再生可能エネルギーや水素をこれに追加。また、34年までは規定外の原料を使用したバイオ燃料もSAFとして認めるとしている。
欧州議会はこのほかにも、SAFやグリーンな航空機の研究開発(R&D)の支援に向け、23~50年まで「持続可能な航空基金」を設置することも提案した。[環境ニュース][EU規制]
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