ドイツ南部エルマウ(Elmau)で開かれていた主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)が28日、3日間の討議を終えて閉幕した。首脳宣言では、ウクライナ侵攻を続けるロシアの輸出収入削減に向け、石油・ガス輸入価格の上限設定を検討する方針が打ち出された。このほか、世界的な食糧安全保障に45億ドルを追加拠出する方針や、低・中所得国のインフラ開発支援に向けた新制度を立ち上げ、総額6,000億ドルを投資する計画も公表された。
首脳宣言では、「ロシアの炭化水素からの収入を削減し、世界的なエネルギー市場の安定を支援するとともに、特に低・中所得国の経済への悪影響を最小化するため、さまざまな解決策を目指す」姿勢が示された。その一環として「一時的な輸入価格の上限導入の実現可能性」を探るとしている。
また、ウクライナ危機を発端に、中東・アフリカなどの低所得国が食糧危機に直面している問題については、「飢えや栄養失調から人々を守り、ロシアによる穀物の武器化に対抗する」ため、世界銀行と「食糧安全保障のためのグローバルアライアンス」を設立すると発表。これに向け45億ドルを追加拠出するとし、民間部門にも協力を呼び掛けた。
新興国や開発途上国のインフラ開発支援に向けては、中国が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する「グローバルなインフラおよび投資のためのパートナーシップ(PGII)」を通じて、向こう5年で6,000億ドルを投資するとしている。
中国は2013年に打ち出した同構想に基づき、世界数十カ国のインフラ開発に巨額の投資を行っており、アフリカなどの貧困国の中国依存が高まっている。昨年のG7サミットでは、これに対抗する取り組みの必要性が確認されていた。
サミットには、ウクライナのゼレンスキー大統領もビデオ会議で参加。首脳宣言では、「必要な限り」長期的に「財政、人道、軍事、開発面での支援を提供する」方針が打ち出された。加えて今回は、アルゼンチンとインド、インドネシア、セネガル、南アフリカの首脳も出席。ウクライナ危機が中・低所得国に及ぼす広範な影響に対処するとともに、対ロシア制裁への理解を求める姿勢が示された。
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