フランスで先に行われた国民議会(下院、定数577)選挙で、マクロン大統領率いる中道の与党連合の議席数が過半数を下回ったことを受け、同大統領は21日、野党各党の党首との協議を開始した。政権運営の安定に向け協力を仰ぐ狙いで、中でも中道右派・共和党からの支持獲得を目指しているとみられる。
マクロン大統領率いる再生(旧共和国前進)などの与党連合は245議席を獲得し、第1党に立ったものの、単独過半数には届かなかった。この結果、連立政権を組むか、少数政権として法案ごとに野党の支持を取り付ける必要に迫られている。
マクロン陣営は左右両派の穏健派からの協力に期待をかけているとされる。選挙で躍進し2位につけた左派連合を率いる極左政党「不屈のフランス」のメランション党首は、マクロン大統領との協議を拒否している。一方、議席数を10倍以上に伸ばし3位に躍り出た極右政党・国民連合のルペン党首は、マクロン氏との協議には応じているが、同党との連立が実現する見込みは薄いという。
マクロン大統領は21日朝にまず、共和党のジャコブ党首と会談。ロイター通信によると、共和党はかねて連立政権への参加を拒否する姿勢を示しているが、同党首は法案ごとの協力には応じる可能性を示唆している。同党首はこの日、1時間にわたりマクロン氏と会談した後、「共和党への信頼を示した有権者を裏切ることはしない」とし、安易に連立交渉に応じるつもりはないとあらためて強調した。
マクロン氏はその後、中道左派・社会党のフォール党首とも会談。夕方には極右政党・国民連合のルペン党首および共産党のルーセル全国書記とそれぞれ協議を行った。
なお、ボルヌ首相は選挙結果を巡る一部からの非難を受け、この日に辞表を提出したものの、マクロン大統領は受理しなかった。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。