世界銀行は7日に発表した世界経済の成長見通しの中で、今年のユーロ圏の域内総生産(GDP)成長率が2.5%になるとの見方を示した。ロシアによるウクライナ侵攻の影響によるエネルギー価格高騰や、継続的な供給網の混乱、金融引き締めを受け、前回1月時点の予測から1.7ポイント下方修正した。世界経済は景気後退と物価高が併存する「スタグフレーション」に陥る恐れがあるとしている。
世銀はユーロ圏経済について、今年前半はロシアのウクライナ侵攻と年初の新型コロナウイルス感染の再拡大を受け、伸びが減速したと指摘。主要国のロシア産ガスへの依存度が高いことを除けば、対ロシア経済制裁が経済に及ぼす直接的な影響は少ないものの、供給網の混乱や資金調達難、消費者信頼感や景況感の悪化といった間接的影響が成長を押し下げたとしている。
ユーロ圏の23年のGDP成長率は1.9%と、さらに減速する見込み。
欧州・中央アジアの今年のGDP成長率見通しはマイナス2.9%と、前回から5.9ポイント下方修正。うちロシアは11.3ポイント引き下げ、マイナス8.9%を見込んでいる。ウクライナの今年のGDPは前年から45%落ち込む見通し。同国では、貧困率が従来の約2%から20%に拡大すると予想されている。
世界経済については、今年の成長率見通しを従来の4.1%から2.9%へと引き下げた。23年と24年も、ともに3%にとどまるとみている。世銀は、コロナ禍の打撃をウクライナ危機が悪化させたことにより、世界的な景気停滞とインフレ加速が長期にわたり続く可能性があると警告。この結果、スタグフレーションのリスクが高まっており、特に低・中所得国が打撃を被る恐れがあるとしている。
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