欧州連合(EU)は3日、ロシアのウクライナ侵攻を受けた第6弾の経済制裁を正式に採択し、発動した。ロシア産石油の輸入を段階的に打ち切る内容で、原油については6カ月以内に、石油精製品については8カ月以内に、それぞれ輸入を禁止する。ただ、いずれも一部加盟国については当面、適用を免除している。
パイプライン経由での原油輸入については、「地理的状況によりロシアからの供給への依存度が高く、これに替わる有効な選択肢がない加盟国」を当面、適用外としている。これは、ロシア産原油を欧州へ輸送する「ドルジバ」パイプラインへの依存度が高い内陸国のハンガリーとスロバキア、チェコが対象となる。
また、ブルガリアとクロアチアについては、それぞれ船での原油と減圧軽油(VGO)の輸入を当面、認めるとしている。これらの免除措置の期限は決まっていない。
新制裁ではこのほか、ズベルバンクとモスクワ信用銀行、ロシア農業銀行を国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除するほか、ロシアの国有テレビ3社のEU域内での放映を禁止。ロシア企業への会計・広報・コンサルティングサービスの提供も禁止される。
加えて、経済制裁対象となる個人・企業リストを拡大し、ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊ブチャや東部ドネツク州の港湾都市マリウポリ(Mariupol)でのロシア軍による残虐行為の責任者をこれに含めている。
欧州委員会は5月上旬、第6弾制裁の一環としてロシア産原油の輸入を6カ月以内に、石油精製品の輸入は年内に、それぞれ禁止することを提案。しかし、ハンガリーなどが抵抗したため、5月末のEU臨時首脳会議(サミット)では、これらの国に配慮した妥協案が承認された。その後、EU理事会の下部組織である常駐代表委員会(COREPER)が新制裁の詳細をまとめ、2日に加盟各国が最終承認。3日に官報掲載を経て発動された。[EU規制]
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