欧州連合(EU)は5月30日に開いた臨時首脳会議(サミット)で、ロシア産石油の輸入を禁止することで合意した。ただ、ハンガリーなど内陸諸国への配慮から、当面は陸上パイプライン経由での輸入は適用外とし、海上輸送分のみを禁止する。これにより、ロシアからの石油輸入は年内に90%削減される見通し。
EU首脳らは合意文書で「第6弾の対ロシア経済制裁の対象に、ロシアから加盟各国に輸送される原油および石油製品を含めることで合意した」とした上で、「パイプラインで輸送される原油は一時的に例外とする」と述べた。例外とされる期間を巡っては合意がまとまらず、「できるだけ早急に再検討する」方針が示された。
EUのミシェル大統領は、新制裁について「ロシアからの石油輸入の75%が直ちに対象となり、年内にはロシアから欧州への石油輸入の90%が禁止される」としている。
欧州委員会は5月上旬、ロシアのウクライナ侵攻を受けた経済制裁として、ロシア産原油については6カ月以内に、石油精製品については年内に、それぞれ輸入を禁止することを加盟各国に提案。しかし、ロシア産石油への依存度が高いハンガリーなどの内陸国がこれに抵抗したため、妥協案が検討されてきた。
サミットでは、ロシア最大の国営銀行ズベルバンクを国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除することでも合意がまとまった。また、ロシアの国有テレビ3社のEU域内での放映を禁止するほか、戦争犯罪の責任者と見なされる個人を経済制裁対象リストに追加する。
EUは今後、閣僚理事会で新制裁の詳細を策定した上で正式に採択する。[EU規制]
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