欧州委員会は25日、経済制裁違反を欧州連合(EU)全域で刑事犯罪とする法案と、経済制裁や犯罪絡みの資産の押収を容易にする法案を公表した。いずれも、ロシアに対する経済制裁の抜け道をふさぐとともに、押収した資産をウクライナ復興支援の原資とする狙い。
EUは、ウクライナ紛争を受けロシアに対する厳しい経済制裁を打ち出しているが、取り締まりや資産の差し押さえは加盟各国に任されている。加盟国の中には、国内法で経済制裁違反を刑事罰の対象としている国もあれば、ケースバイケースで刑事罰や行政罰の対象としている国、行政罰のみの対象としている国もある。
欧州委が公表した法案の1つは、EUレベルで刑事罰の対象基準を定め、経済制裁違反もテロ行為や組織犯罪、人身売買などと同様の対象に含めている。経済制裁については、資産隠匿などの制裁回避や、違反者の資産凍結を怠るなど制裁回避を助ける行為も対象となる。これにより、域内全体で同じように捜査を行い、同様の懲罰を科すとしている。
もう1つの法案は、制裁違反を含めた犯罪に絡む資産の追跡や凍結、押収の手続きを簡素化する内容。また、差し押さえた資産の管理や売却を手掛ける資産管理局を全加盟国に設置するとしている。[EU規制]
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