欧州委員会は23日、コロナ禍を受け一時的に停止していた財政規律ルールの適用免除を2023年末まで継続することを提案し、同日に開かれた財務相会合でこれについて協議が行われた。ロシアのウクライナ侵攻やエネルギー価格高騰の影響に配慮した措置で、24年から適用を再開するべきとしている。
欧州連合(EU)の安定・成長協定(SGP)では、各国に対して国内総生産(GDP)比で、財政赤字を3%以内、公的債務を60%以内に抑えるルールを課している。しかし、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受け、20年3月にこのルールの適用を免除する条項が発動されていた。
欧州委は今回、「ウクライナ戦争や、未曽有のエネルギー価格高騰、供給網混乱の継続を背景に、先行き不透明感と下降リスクが強まったことで、23年いっぱいまで適用免除を延長することが正当化される」との判断を示した。「適用免除を23年も続けることにより、加盟各国は必要に応じて迅速に財政政策を講じる余地が与えられる」としている。
EU政策専門サイトのユーラクティブによると、財政規律ルールの適用免除を延長する案に対し、スペインやベルギーが歓迎する一方で、ドイツは批判的な姿勢を示している。ドイツのリントナー財務相は会合に先立ち、「肥大化を続ける債務への中毒から脱する必要がある」とコメントしている。
なお、SGPに基づく財政規律ルールを巡ってはかねて、スペインやフランス、イタリアなど一部加盟国からより抜本的な見直しを求める声も上がっているが、ドイツやオランダはこれに反対している。オランダとスペインは4月、両サイドの亀裂を埋めるため、共同で同ルールの改革案を提出した。[EU規制]
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