欧州委員会は18日、2030年までに欧州連合(EU)のロシア産化石燃料への依存を断つ「リパワーEU」計画の詳細を公表した。投資総額は約3,000億ユーロで、再生可能エネルギーの開発と、エネルギー効率の改善、石油・ガスの調達先の多様化を柱としている。これに向け、30年までに再生可能エネルギー比率を45%に高めるとともに、エネルギー効率を13%改善する新目標を打ち出した。
「リパワーEU」の中核となるのは、再生可能エネルギーの大規模開発。欧州委は昨年、再生可能エネルギー比率を30年までに40%に高める目標を設定していたが、これを45%に引き上げる。具体策としては、風力発電所の建設承認手続きの所要期間を現在の最長6年から1年以内に短縮するほか、商業・公共施設では26年までに、新築の一般住宅では29年までに屋根への太陽光パネル設置を義務付ける。
一方で、エネルギー消費量の削減に向けた効率化に取り組む。30年までのエネルギー効率の改善目標は、21年7月に打ち出した9%から13%に引き上げる。
化石燃料の供給減の多様化に向けては既に、EU加盟27カ国による天然ガスや液化天然ガス(LNG)、水素の共同調達計画が打ち出されているが、今回その運営方法が示された。
投資総額3,000億ユーロのうち、約720億ユーロは補助金、約2,250億ユーロは融資が占める。このうち95%をクリーンエネルギーへの転換に充てる一方、化石燃料の調達先の切り替えに備え、加盟各国のガスおよびLNGインフラ整備に約100億ユーロ、石油インフラの整備に20億ユーロを投資するとしている。
欧州委はロシアのウクライナ侵攻を受け、3月に「リパワーEU」計画を公表。この中で、今年のロシア産ガス輸入量を前年の3分の1に減らす方針を示していた。EUの昨年のガス輸入の40%をロシア産ガスが占めたが、欧州委は今回、この比率が今年4月には既に26%まで低下したとしている。フォンデアライエン委員長は「ロシア産化石燃料への依存をできるだけ早急に緩和する必要がある」とした上で、「それは可能であると確信している」と話している。[EU規制][環境ニュース]
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