主要7カ国(G7)首脳は8日、オンライン会議を開き、ロシアからの石油輸入を段階的に停止または禁止することで合意した。ウクライナ侵攻を続けるロシアへの追加制裁の一環。時期や方法などの具体的な道筋は示されなかったものの、ロシア産エネルギーへの依存脱却を目指す方針で一致した。会議にはウクライナのゼレンスキー大統領も参加し、同国に対する経済・軍事面での支援を強化することでも合意した。
会議後に公表された共同宣言では「ロシア産石油の輸入の段階的停止または禁止などを通じて、ロシアのエネルギーへの依存状態から段階的に脱却する」と約束。「世界が代替供給を確保するための時間を提供する形で、適時にかつ秩序立った方法で」実施するとしている。クリーンエネルギーへの移行を加速することにより、化石燃料への依存を軽減する方針も示された。
ロシアに対する追加制裁としてはほかに、同国の企業・個人による制裁回避を阻止するため、会計・コンサルティングなど、ロシアが制裁回避のために利用している主要サービスの提供を禁止する方針も表明。このほか、ロシアの主要銀行に対する制裁や、同国政府によるプロパガンダの阻止、ロシア政府の軍事行為を支援するエリート層に対する制裁も強化するとしている。
欧州委員会は先に、ロシアに対する新制裁の一環として、ロシア産石油の輸入を年内に段階的に禁止することを提案した。欧州連合(EU)加盟各国は現在、これを協議しているが、EU政策専門サイトのユーラクティブによると、ロシア産への依存度が高いハンガリーとスロバキア、チェコはこの案に難色を示している。最終案では、これら3カ国への特別措置が盛り込まれる可能性がある。
G7のうち、米国とカナダは既にロシア産石油の禁輸措置に踏み切っており、英国も年内に石油輸入を打ち切ることを決めている。岸田首相は今回、エネルギー資源の大半を輸入に頼る日本にとって「大変厳しい決断」とした上で、今回の共同声明も踏まえ、「ロシア産石油の原則禁輸措置をとる」としている。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。