米国の金融情報サービス大手S&Pグローバルは2日、4月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が55.5になったと発表した。速報値から0.2ポイント上方修正されたものの、前月からは1ポイント低下。過去15カ月で最低に沈んだ。一方で、景気の「改善」と「悪化」の境目である50は22カ月連続で上回っている。
調査対象国のうち、オーストリアは57.9と過去15カ月で最低を記録。イタリアは54.5、スペインは53.3と、それぞれ過去16カ月、過去14カ月で最も低い。半面、オランダは59.9に上昇した。
ユーロ圏経済をけん引するドイツは54.6と、速報値から0.5ポイント上方修正されたが、前月からは2.3ポイント低下。過去20カ月で最も落ち込んだ。生産高と新規受注は共に2020年半ば以降で初めて減少に転じた。雇用は引き続き増加している。
フランスは55.7と速報値から0.3ポイント引き上げられ、前月からは1ポイント上昇。生産高と新規受注は引き続き拡大した。雇用は15カ月連続で増えている。
ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、生産高の伸びは20年7月以降で最も減速。新規受注の拡大幅は過去22カ月で最も小さく、輸出向けに限ると2カ月連続で減少している。仕入れ価格は過去5カ月で最も大きな上昇幅となり、出荷価格の伸びは02年11月の統計開始以降で最大となった。
S&Pグローバルのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは「4月の製造業生産はユーロ圏全域でほぼ足踏み状態に陥った」とコメント。回答企業からは、ウクライナ戦争や中国での新たなロックダウン(都市封鎖)により部品不足が悪化しただけでなく、物価上昇や経済見通しに対する不確実性の高まりが需要にも打撃を与えているとの報告があったとしている。
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