国際通貨基金(IMF)は19日発表した世界経済見通しで、ユーロ圏19カ国の今年の域内総生産(GDP)成長率見通しを1月時点の3.9%から2.8%へと下方修正した。ロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー価格高騰や供給網の混乱、経済制裁が景気を押し下げると予想。中でも、製造業が主力でロシア産エネルギーへの依存度が高いドイツとイタリアの見通しを最も大幅に引き下げている。
今年のGDP見通しを国別にみると、ドイツは前回から1.7ポイント下方修正し、2.1%とした。イタリアも1.5ポイント下方修正し、2.3%になるとしている。フランスは2.9%、スペインは4.8%と、それぞれ前回から0.6ポイント、1ポイント引き下げた。
来年のユーロ圏の成長率見通しは2.3%と、さらに減速すると予想。こちらも前回見通しから0.2ポイント引き下げている。
英国の今年のGDP成長率は、3.7%になると予想。物価上昇による実質可処分所得の目減りが消費を押し下げる上、金融引き締めにより投資が冷え込むとみて、前回予想から1ポイント下方修正している。来年についても1.1ポイント引き下げ、1.2%にとどまるとみている。
IMFは、今回の見通しには大幅な下振れリスクが伴うと指摘。ウクライナ危機が早期に解決しない限り、予想以上に成長率が低下する可能性が強いとしている。リスク要因としては、ウクライナ危機の深刻化に加え、物価高やウクライナ移民急増を背景とした社会的緊張や、新型コロナウイルスの感染再拡大など数多くの要因を挙げ、現在の見通し不透明感はコロナ禍が始まった当初に匹敵するとしている。
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