カナダ・トロント大学の国際問題・公共政策研究所シティズン・ラボは18日、英国の首相官邸および外務省のコンピューターネットワークが2020~21年に、イスラエルのサイバーセキュリティー企業NSOグループのスパイウエア「ペガサス」に感染していた疑いがあると明らかにした。
シティズン・ラボは、これらのネットワークから「ペガサス」が検出されたことを受け、英国政府に通報したとしている。首相官邸のネットワークから検出された「ペガサス」は、アラブ首長国連邦(UAE)の関係者が運用していたとみられる。一方、外務省から検出された「ペガサス」の運用者は、UAEやインド、キプロス、ヨルダンとの関連が疑われるという。
外務省は多くの職員を外国に派遣しているため、感染源は外国製のSIMカードを挿入して国外で使用されている端末機器だった可能性もあるとしている。
「ペガサス」を巡っては21年7月、世界各国の政府が報道記者や人権活動家、野党政治家、財界人、他国の首脳の端末のハッキングに使用していたことが発覚していた。
■スペイン・カタルーニャ州独立派も標的に
シティズン・ラボはこの日、スペイン北東部カタルーニャ自治州の独立運動に関わる政治家ら少なくとも65人が17~20年に「ペガサス」の標的となっていたと明らかにした。スペイン当局がこれに関与していた疑いが強いとしている。
「ペガサス」は、標的となった人物の携帯電話から検出された。こうした人物には、同州の首相や議員、司法関係者のほか、欧州議会議員や市民団体のメンバー、これらの人物の家族が含まれているという。17年にカタルーニャ州独立の是非を問う住民投票を強行し、昨年にイタリアで逮捕された同州のプチデモン元首相は、スペイン政府が違法なスパイ活動を行ったとして批判している。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。