英国政府は6日、エネルギー安全保障戦略を公表した。世界的なエネルギー価格の高騰を背景に自給率の向上を図ると共に、クリーン・エネルギーの比率を高める狙い。2030年までに最大8基の原子炉を新設し、原子力発電の設置容量を50年までに現在の3倍に拡大するほか、洋上風力発電の設置容量を30年までに現在の5倍に拡大する計画を打ち出している。
原子力については、設置容量を現在の6.9ギガワットから50年までに24ギガワットに拡大し、国内需要の約25%を賄う計画。新原発の開発に向け、独自の資金をもつ新機関「グレート・ブリティッシュ・ニュークリア」を即時設置するほか、将来的な原発プロジェクト向けに1億2,000万ポンドの基金を4月中に設置する。
政府はこれにより、30年までに最大8基の原子炉を新設できると見込む。これには、イングランド東部サフォーク州で計画中の新原発「サイズウェル(Sizewell)C」や南西部サマセット州の「ヒンクリーポイント(Hinkley Point)C」のほか、ウェールズ北西岸に接するアングルシー島で検討されているウィルファ(Wylfa)原発プロジェクトが含まれるもよう。また、原子力発電の小型モジュール炉(SMR)も重要な役割を果たす可能性があるとしている。
洋上風力発電の設置容量は、30年までに現在の10ギガワットから最大50ギガワットに拡大する。うち5ギガワットは浮体式洋上風力発電施設が占める見通し。また、新規洋上風力発電プロジェクトの承認手続きを簡素化し、審査期間を従来の4年から1年に短縮する。
陸上風力発電については目標を示さず、新規プロジェクトの受け入れを支持する地域により安価な電力料金を保証すると述べるにとどまった。
太陽光発電の設置容量については、現在の14ギガワットから35年までに最大5倍に拡大する方針で、特に住宅やビルの屋上設置型に注力する。また、低炭素の水素生産施設の容量を30年までに最大10ギガワットに拡大する。
石油・ガス開発については、今秋に北海での新規ライセンス交付手続きに着手するとしている。一方、暖房用ガス需要の低減に向け熱ポンプの普及を図る方針で、国内メーカーの育成に向け最大3,000万ポンドの投資基金を設置するとしている。[環境ニュース]
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