主要7カ国(G7)は24日、ブリュッセルで首脳会議(サミット)を開き、ウクライナに侵攻したロシアに対する経済制裁の適用を徹底することで合意した。新たな制裁は打ち出さなかったものの、ロシア中央銀行による金取引など「制裁逃れ」の監視を強化すると共に、他の諸国にもG7同様の経済制裁の導入を促すとしている。
G7首脳はサミット後の共同声明で「現行の経済・金融措置の完全な実施などにより、ロシアに厳しい結果をもたらす」と強調。その一環として「関係閣僚に、制裁を完全に実施しロシア中銀による金取引を含む回避措置への対応を調整することを指示する」としている。
また、他の諸国に対しては、G7各国と同様の制限措置の採用を促すとともに、現行の制裁の効果を低下または軽減させることを狙った回避や迂回、穴埋め行為を控えるよう警告した。
フィナンシャル・タイムズによると、各国の制裁の中でロシアに最大の打撃を与えているのは、外貨準備の凍結措置とみられている。この結果、ロシア中銀による外為市場への介入が不可能となり、通貨ルーブルは史上最安値を更新した。こうした中、中銀がルーブル相場の下支えに向け、豊富に保有する金を売却する動きもみられるという。また、ロシアの制裁逃れを阻止する上では、G7の制裁に同調していない中国の姿勢が重要となる。
■ウクライナのEU加盟問題は進展なく
欧州連合(EU)は24~25日、ブリュッセルでサミットを開催し、ロシアのウクライナ侵攻を巡る対応などについて協議した。24日にはウクライナのゼレンスキー大統領もビデオで演説を行ったが、同国のEU加盟申請問題については大きな進展がなかった。
ウクライナはロシアによる侵攻を受けて正式なEU加盟申請を行い、迅速な手続きを求めている。ゼレンスキー大統領はこの日のビデオ演説で、ウクライナはEU加盟資格があることを証明したとあらためて強調した。また、同大統領はハンガリーがウクライナへの武器供与を行っていないことも強く非難した。ハンガリーのオルバン首相はEU首脳の中で最もプーチン大統領に近いとされる。
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