英国の製薬大手アストラゼネカは21日、新型コロナウイルス感染症向け抗体カクテル療法「エブシェルド(Evusheld)」が、変異株「オミクロン株」の派生型で感染力が強いとされる「BA・2」にも有効であることが実験データにより証明されたと発表した。
「エブシェルド」は、2種類のモノクローナル抗体を筋肉内注射によって一つずつ順番に投与する療法。既に後期臨床試験によって、発症リスクを大幅に引き下げることが証明されているが、「BA・2」に対する有効性が確認されるのは、これが初めて。
アストラゼネカは今回、米国のワシントン大学によるマウスを使った実験で、同療法が「BA・2」を含むオミクロン株のすべての派生型に持続的効果を発揮したと明らかにした。「エブシェルド」を投与されたマウスは、これらの派生型に接した後の肺の中のウイルス量が、投与されていないマウスより少なく、炎症も軽かったという。
米食品医薬品局(FDA)は昨年12月、「エブシェルド」を免疫不全患者向けの予防薬として承認。英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)も、3月17日に同様の用途で承認したばかりだった。欧州連合(EU)でも現在、承認審査が進められている。
後期臨床試験では、「エブシェルド」を1回投与することにより、発症リスクを77%低減できることや、その効果が少なくとも6カ月間持続することが証明されている。このため、免疫不全でワクチンを接種しても免疫反応が出にくい人のための予防薬として期待されている。
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