経済協力開発機構(OECD)は17日、ロシアによるウクライナ侵攻の影響により、ユーロ圏の域内総生産(GDP)成長率が開戦後1年間で1.4ポイント押し下げられるとの見通しを示した。インフレ率は2ポイント押し上げられるとみており、物価高による貧困層への影響を緩和する政策を取るよう各国政府に呼び掛けている。
OECDは昨年12月に公表した世界経済見通しの中で、新型コロナウイルス危機の収束に伴い、ユーロ圏のGDPが今年は4.3%拡大するとの見通しを示していた。
OECDは今回、ウクライナ危機の経済的影響を予想するのは極めて困難で、戦争の期間や政策対応にも左右されると指摘。ただ、短期的に世界経済の成長率を大幅に押し下げ、インフレ圧力を大幅に強めることは明らかとし、中でも欧州経済が最も大きな打撃を受けるとしている。
OECDは、ロシアとウクライナが世界経済に占める比率は合わせて2%と小さいものの、いずれも資源やコモディティーの主要輸出国で、小麦やトウモロコシ、肥料原料となる鉱物、石油、ガスなどの供給と価格に大きな影響が生じるとみている。
世界経済の成長率は、ウクライナ危機により1ポイント押し下げられると予想。世界のインフレ率は2.5ポイント上昇するとみている。
OECDは、食料・エネルギー価格の高騰から貧困層を守る政策を取ることにより、インフレはやや加速するものの、GDPへの打撃を半減できると指摘。特に、東欧やバルト諸国ではこうした措置の必要性が高いとしている。
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