ロシアのプーチン大統領は10日、同国から撤退する外国企業の国内資産を国有化する法案を策定していると明らかにした。日本や欧米など「非友好国・地域」の企業が出資する企業が対象となる。ロシアのウクライナ侵攻を受け、欧米や日本の企業の撤退が相次ぐ中、工場や店舗を接収して転売することにより、事業を継続し雇用や供給網を保護する狙い。
非友好国・地域リストには、日本や米国、英国、欧州連合(EU)加盟27カ国のほか、カナダやオーストラリア、スイス、ノルウェー、韓国、台湾、シンガポールなどが含まれている。これらの国・地域の企業が25%以上を出資する企業がロシア事業を打ち切った場合、裁判所の命令により管財人の管理下に置かれる。
欧州連合(EU)政策専門サイトのユーラクティブによると、管財人は3カ月後に競争入札により事業を売却する。ただ、ロシア撤退を発表した企業が5日以内に事業を再開するか、株式を売却して事業と雇用が継続された場合には、管財人の指名を免れる見通し。
プーチン大統領は、こうした企業の行方は親会社の決断次第とし、ミシュスチン首相は「多くの企業は事業の一時停止を発表する一方、雇用や賃金の支払いは継続しているが、われわれは今後も慎重に状況を見守る」としている。
現地紙イズベスチヤによると、政府と検察当局は既に担当機関から、国有化の対象候補60社のリストを受領している。リストには、トヨタ自動車や、ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)や同社の高級スポーツカー部門ポルシェ、英国の石油大手シェル、スウェーデンの家具製造・販売大手イケアとファストファッション大手ヘネス&マウリッツ(H&M)、米アップルやマイクロソフト(MS)、コンピューター大手IBMなどが含まれているという。
アルジャジーラによると、ロシアのウクライナ侵攻以降に同国から撤退または同国事業を一時停止した企業は、330社超に上る。[日本企業の動向]
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