欧州連合(EU)は22日の外相会合で、ロシアに対する新たな経済制裁を全会一致で承認した。ロシア国家会議(下院)の議員351人と27の個人・団体が制裁対象に加えられている。同国のプーチン大統領がウクライナ東部の親露派勢力が実効支配する地域を独立国家として承認し、ロシア軍に進軍を命じたことを受けた措置。米国もこの日にロシアに対する追加制裁を発表した。
新たにEUの制裁対象となるのは、ウクライナ東部の2地域を「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」として承認することに議会で支持票を投じた下院議員のほか、ロシア政府高官やロシア軍の資金調達に関わる銀行など。資産を凍結するほか、EUへの入域を禁止する。また、EU域内の資本・金融市場でのロシア政府による資金調達を規制するほか、ウクライナ東部の両地域との通商を禁止する。
ロイター通信によると、制裁は23日付で発動される。欧州委員会のフォンデアライエン委員長は「ロシアが危機をエスカレートさせれば、さらなる対抗措置を取る」としている。EUは24日に臨時首脳会議(サミット)を開き、ウクライナ危機を巡る今後の措置について協議する予定。
■露大手2行を制裁対象に
米国のバイデン大統領はこの日、ロシアに対する経済制裁を一段と強化すると発表した。ロシアの大手銀行2行と、ロシア政府と関係の深い個人5人を制裁対象に加えるほか、ロシア国債や中銀などが発行する債券を米国の企業・個人が2次市場で売買することを禁止する。
制裁対象に指定された2行は、ロシア国営の開発対外経済銀行(VEB)とプロムスビャージバンク(Promsvyazbank)。いずれも政府やロシア軍の資金調達に深くかかわっているという。両国は米国内の資産を凍結され、米国の個人・企業との取引やドルでの決済や資金調達も禁止される。
バイデン大統領はこの前日、米国の企業や個人による「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」への投資や両地域との貿易を禁止していた。同大統領は今回、ロシアがウクライナ侵攻を続ければ、一段の制裁を科すとしている。[EU規制]
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