フランス政府は、2050年までに新たな原子炉を少なくとも6基建設する計画を明らかにした。同年までの炭素中立目標の達成に向けた取り組みの一環。建設はフランス電力(EDF)が担当する予定で、最初の原子炉は35年の稼働開始を見込む。
マクロン大統領は10日、視察先の東部ベルフォール(Belfort)で、化石燃料からの脱却に向けては燃料消費の一部を電力で補完することになるため、発電量を最大60%拡大する必要が生じると指摘。国が必要としており、条件もそろっているのは「原子力産業の再誕だ」と話した。これには、原子炉の新設のほか、既存の原子炉の稼働期間を延長する計画も含まれる。さらに、原子炉8基の追加新設に向けた調査も開始する予定。
新原子炉は、EDFの欧州加圧水型原子炉(EPR)を改良したモデルとなる。EDFによると原子炉6基の新設コストは500億ユーロに及ぶ見通し。EDFは既に多額の負債を抱えているが、マクロン大統領は政府が資金調達を引き受ける考えを示している。
マクロン大統領は昨年11月、エネルギー供給におけるフランスの自立と低炭素化に向け、国内で原発の建設を数十年ぶりに再開する方針を発表。50年までの炭素中立に向けては、再生可能エネルギー開発の加速と原子力発電への注力の「2本柱」が必要とみている。
再生可能エネ開発を巡っては、50年までに太陽光発電の発電容量を100ギガワット以上に拡大する方針。また、洋上風力発電所50カ所の新設を通して、発電容量を少なくとも40ギガワット拡大する計画も進めている。[環境ニュース]
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。