欧州委員会は10日発表した冬季経済見通しの中で、今年のユーロ圏の実質域内総生産(GDP)が前年比4%拡大するとの予測を示した。昨年11月の秋季見通しから0.3ポイント下方修正。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響や供給のボトルネック、エネルギー価格の高止まりが予想以上に長引くためで、インフレ見通しは引き上げている。
来年の成長率は2.7%と、前回予測から逆に0.3ポイント引き上げた。一方、欧州連合(EU)加盟27カ国のGDPは、22年に4%拡大し、23年は2.8%増えるとみる。
今年の成長率見通しを国別に見ると、ドイツは3.6%と秋季見通しから1ポイント下方修正。フランスは0.2ポイント引き下げ3.6%とした。イタリアも0.2ポイント下方修正し、4.1%を見込む。スペインは0.1ポイント引き上げ、5.6%とした。
ユーロ圏のインフレ率については、昨年の2.6%から今年は3.5%に加速すると予想。前回予測から大きく1.3ポイント上方修正した。来年は1.7%への減速を見込む。EU全体の今年のインフレ率は3.9%、来年は1.9%をそれぞれ予想している。
欧州委は、変異株「オミクロン株」の感染拡大の影響は短期的にとどまるとみるものの、医療システムの逼迫(ひっぱく)や人手不足などパンデミックの影響は今後も続くと予想。半導体や一部金属などの供給ボトルネックも、少なくとも年前半は続くほか、エネルギー価格の高止まり状態も予想以上に長引き、景気の伸び悩みとインフレ圧力の高まりを招くとみる。
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