英国の食品・家庭用品大手ユニリーバは10日、2021年12月期の純利益が66億2,100万ユーロとなり、前期比9%増加したと発表した。新型コロナウイルス関連の規制によって電子商取引(EC)市場が拡大したことが追い風となった。一方、原材料コストの高騰を背景に、今年の商品価格上昇の可能性を示唆している。
売上高は524億4,400万ユーロと、継続事業・恒常為替レートベースで4.5%増えた。地域別に見ると、欧州は0.4%の増収。米大陸は5.5%伸びており、うち中南米が9%、北米は3.4%それぞれ増加した。新興市場を含むその他の地域は5.8%拡大し、うちインドと中国は2桁台の成長を見せた。
事業別では、フード・リフレッシュメント部門が5.6%拡大。ホームケア部門は3.9%伸び、ビューティー・パーソナルケア部門は3.8%増加した。
グループの営業利益(事業買収・売却や関連コスト、特別損益除く)は96億3,600万ユーロと2.9%拡大。これをベースとする利益率は18.4%と、0.1ポイント低下した。
同社は今年について、増収率は実質4.5~6.5%を予測。営業利益率は仕入れコスト拡大により圧迫され、16~17%に低下する見込み。
■最大30億ユーロの自社株買い戻し
ユニリーバは併せて、今後2年間で最大30億ユーロの自社株を買い戻すと発表した。同社は先に、英国の製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)のコンシューマーヘルスケア部門の買収を断念したが、この計画を巡って一部株主から不満が噴出していた。
アラン・ジョープ最高経営責任者(CEO)は「株主と幅広く対話し、ポートフォリオの拡大方針を評価する必要があるという強いメッセージを受け取った」とコメント。当面は大規模な買収を行わない方針だと明らかした。
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