欧州委員会は2日、気候変動対策に役立つ経済活動の法的基準を示す「欧州連合(EU)タクソノミー規則」で、原子力発電と天然ガスをグリーンな経済活動に含めることを正式に提案した。いずれも、炭素中立への移行に貢献することなどが前提となるほか、詳細な条件が規定されている。今後、欧州議会とEU理事会での審議と承認を経て、来年1月に発効する見通し。
原子力については、核廃棄物の処理も含めた厳格な安全・環境基準を満たすことを条件に、グリーン投資の対象として認める。ただし、新規原子力発電所の建設は45年まで、既存原発の改修工事は40年までに、当局の承認を得る必要がある。加えて、安全向上に向けた技術革新を促すため、第4世代原子炉の先進技術開発事業もグリーン投資対象とする。
ガスについては、ライフサイクル全体の二酸化炭素(CO2)排出量が1キロワット時当たり100グラム未満の場合に限り、ガス火力発電所やガス火力コージェネレーション(熱電併給)プラントなどをグリーン投資対象とする。
ただし、これらの施設については30年までに建設許可を得る必要がある。また、◇大規模な再生可能エネルギーの生産が不可能◇CO2直接排出量が1キロワット時当たり270グラム未満◇発電所の場合には向こう20年の年間CO2直接排出量が1キロワット時当たり平均550キログラム未満――のいずれかの条件に当てはまることも必要となる。発電所の場合にはこれに加えてさらに詳細な条件が課されている。
欧州委のマクギネス金融安定担当委員は「50年までに気候中立を実現するためには、利用できるあらゆる手段が必要となり、民間投資の拡大がその鍵となる」とコメント。厳格な投資条件を示すことによって「石炭など、より有害なエネルギー源からの移行を支援する」投資を促すと話している。
欧州委は昨年4月、「EUタクソノミー規則」の最終案を提示したが、原子力発電事業や天然ガス事業をグリーンな経済活動に含めるかどうかについては、専門家から意見を聞いた上で決めるとしていた。当初は1月に最終案が提示される予定だったが、加盟各国の意見が割れていることを背景に延期されていた。[環境ニュース][EU規制]
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