金融情報サービス会社IHSマークイットは24日、1月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が52.4となったと発表した。昨年12月から0.9ポイント低下し、過去11カ月で最低を記録。景気の「改善」と「悪化」の境目である50は11カ月連続で上回っている。
ユーロ圏の製造業PMIは59と前月から1ポイント上がり、過去5カ月で最高となった。生産高は伸び幅が昨年8月以降で最大となり、新規受注も拡大。雇用ペースは過去6カ月で最大の伸びを示した。仕入れ価格の伸びは昨年4月以降で最も鈍化したが、出荷価格は高止まりしている。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは60.5と前月から3.1ポイント上昇し、過去5カ月で最高を記録。フランスは0.1ポイント下がり55.5だった。
ユーロ圏総合指数のうち、生産高の増加幅は過去およそ1年間で最も小さい。新規受注の伸び幅は過去11カ月で最も縮小した。雇用は変化がなかった。仕入れ価格は引き続き上昇し、出荷価格は過去最高水準となった。
■サービス業も低下
ユーロ圏のサービス業PMIは51.2と前月から1.9ポイント低下し、過去9カ月で最低となった。国別ではドイツが52.2と、前月から3.5ポイント上昇し、過2カ月で最高を記録した。一方、フランスは3.9ポイント低下し、53.1だった。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大を受け、「観光や娯楽といった消費者向けサービスへの支出が著しく減少した」とコメント。ただ、経済全体への影響は大きくないとしている。また、近く製造業の供給遅延が緩和される見通しで、既に工場の生産活動が拡大し、コスト圧力も緩和されたとしている。
サービス業については、オミクロン株の影響で見通しは不明瞭としたものの、これまでの感染拡大時ほど深刻化していないとみる。メーカー間での見通しは改善していると指摘した。一方、賃金とエネルギーコストの上昇が原材料価格の低下を相殺し、インフレ圧力の緩和に対する期待を裏切る結果となっており、製品・サービス価格は記録的な上昇幅を見せたと説明している。
■英は過去11カ月で最低
1月の英国の総合PMI(速報値)は53.4と、前月から0.2ポイント下がり、過去11カ月で最低となった。生産高の伸びは、昨春のロックダウン(都市封鎖)以降で最小だった。半面、新規受注は力強い伸びを見せ、雇用は11カ月連続で増えた。仕入れ価格の上昇幅は統計開始以降で過去2番目を記録。出荷価格の伸びは、昨年4月以降で最も小さくなった。
製造業PMIは56.9と、前月から1ポイント低下。サービス業PMIは0.3ポイント下がって53.3だった。
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