世界銀行は11日に発表した世界経済の成長見通しの中で、今年のユーロ圏の域内総生産(GDP)が4.2%拡大するとの見方を示した。新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染拡大により、サービス業での消費の回復が予想よりやや緩やかになったとして、昨年6月時点の予測から0.2ポイント引き下げた。
2021年のユーロ圏GDP成長率(推定値)は5.2%と、前回予測から1ポイント上方修正した。世銀は、ユーロ圏経済は同年第2四半期(4~6月)から第3四半期にかけて、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)による打撃から顕著な回復を見せたが、第4四半期には感染再拡大や、世界的なサプライチェーン(調達・供給網)の混乱による生産への制約、エネルギー価格高騰などにより減速したと指摘。天然ガスと電力価格の高騰が今年も続けば、ユーロ圏経済に短期的な下振れリスクをもたらすとし、特に鉱工業生産が影響を受けるとした。
ユーロ圏のGDP成長率は23年に2.1%と、さらに減速する見込み。
欧州・中央アジアのGDPは21年に5.8%増え、前年の2%減からプラスに回復。今年は3%拡大に減速する見通しだ。うちロシアは昨年の4.3%から今年は2.4%に減速し、トルコは昨年の9.5%から今年は2%へと大きく減速するとみる。
世界経済については、今年の成長率は4.1%となり、前年の5.5%から減速すると予測。昨年6月時点の予測と比べ、21、22年共に0.2ポイント下方修正している。世界経済は短期的にはパンデミックの再燃や食料・エネルギー価格の上昇、供給問題の影響を受けるとした。23年には成長率が3.2%にまで減速するとみる。
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