欧州委員会は1日、加盟国に持続可能なグリーン投資を促す対象に原子力発電と天然ガスを認める方針を明らかにした。これは原子力へのエネルギー依存度の高いフランスや天然ガスに頼る南欧・東欧の加盟国に配慮したものとされるが、ドイツの連立政権に参加する緑の党やオーストリアなどは反発している。
欧州委は、気候変動対策に役立つ経済活動の法的基準を示す「EUタクソノミー規則」を策定中だが、同委の内部でエネルギー源の分類を巡って意見の相違があり、これまで決定が延期されていた。欧州委は今回、「再生可能エネルギー主体への移行を促進する手段として、天然ガスと原子力にも役割がある」として、両エネルギー源が移行に貢献すると指摘。ただし明確な条件を設けることを明らかにした。
この条件として欧州委の提案は、原子力では厳密な廃棄物処理の計画を立てる必要があり、新規発電所の建設は2045年までに許可されること、既存の発電所の拡張は40年までに許可されることとしている。また天然ガスについては、30年末までに認可される施設で、二酸化炭素(CO2)排出量を1キロワット時当たり270グラム未満とし、石炭発電など従来の化石燃料を代替する場合としている。
しかし、ドイツの緑の党に所属するレムケ環境相は、欧州委の提案を「間違っている」として、原子力は環境破壊や大量の核廃棄物をもたらす可能性があると批判。オーストリアのゲベッスラー気候行動・環境・エネルギー相は、欧州委を提訴することを検討すると明らかにした。ただドイツでも連立与党の自由党党首であるリンドナー財務相は、ガスを対象に含めることに支持を表明している。
欧州委の提案は、今月12日まで加盟各国の専門家からなるグループが検討した後に、同委が最終案を採択する。これを加盟各国と欧州議会が協議するが、それぞれ加盟国と欧州議会議員の過半数が賛成すれば承認され、23年には施行されることになる。
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