金融情報サービス会社IHSマークイットは3日、12月のユーロ圏製造業PMI(購買担当者景気指数、確定値)が58になったと発表した。速報値から変化はなく、前月からは0.4ポイント低下。過去10カ月で最低となったものの、景気の「改善」と「悪化」の境目である50は、18カ月連続で上回っている。
調査対象国のうち、イタリアは62に低下。オランダは58.7と、1年ぶりの低水準となった。アイルランドは過去9カ月で最低の58.3となり、スペインは56.2で10カ月ぶりの低水準に落ち込んだ。半面、ギリシャは59、オーストリアは58.7にそれぞれ上昇した。
ユーロ圏経済をけん引するドイツは57.4。速報値から0.5ポイント下方修正され、昨年1月以降で最低となった11月からは横ばいだった。生産高は2カ月続けてわずかに拡大したが、新規受注の伸び幅は2020年7月以降で最低となった。雇用は5カ月ぶりに加速した。
フランスは55.6と、速報値から0.7ポイント上方修正されたものの、前月からは0.3ポイント低下。生産高はわずかに増加し、新規受注の伸びは4カ月ぶりの高水準だった。雇用は11カ月連続で増加している。
ユーロ圏製造業PMIのサブ指数を見ると、生産高は前月からほぼ変化がなかったが、新規受注の伸び幅は昨年1月以降で最も小さかった。仕入れ価格の上昇幅は引き続き高水準にあるものの、昨年4月以降では最も縮小。出荷価格は4カ月ぶりの低水準となった。
IHSマークイットの上級エコノミスト、ジョー・ヘイズ氏は「2021年後半はユーロ圏の製造業にとって非常に厳しい時期となったが、今回の結果は(クリスマス・新年の)お祝いムードをあまり損なうものではなかった」とコメント。サプライチェーン(調達・供給網)危機が緩和し始めたという非常に喜ばしい兆候はあるものの、その恩恵はわずかなものだったと指摘している。また、インフレ率の緩和は歓迎すべきことだが、いまだ高水準にあると警鐘を鳴らした。
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