金融情報サービス会社IHSマークイットは23日、11月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が55.8となったと発表した。10月から1.6ポイント上昇。4カ月ぶりに上昇に転じた。景気の「改善」と「悪化」の境目である50は9カ月連続で上回っている。
ユーロ圏の製造業PMIは58.6と前月から0.3ポイント伸びた。生産高は伸びが加速し、新規受注も引き続き増えた。雇用ペースも加速している。仕入れ価格と出荷価格はいずれも、上昇幅が統計開始以降で最大となった。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは57.6と前月から0.2ポイント低下し、過去10カ月で最低を記録。フランスは1ポイント上がり54.6だった。
ユーロ圏総合指数のうち、生産高と新規受注は共に上昇。雇用は7月以降で最も拡大した。仕入れ価格は過去最高の水準に達し、出荷価格も前例のない伸びを見せた。
■サービス業は独仏とも上昇
ユーロ圏のサービス業PMIは56.6と前月から2ポイント上昇し、過去3カ月で最高となった。国別ではドイツが53.4と1ポイント伸びた。フランスは1.6ポイント上がり58.2だった。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは今回の結果について「11月は予想に反してユーロ圏経済が拡大した」とコメント。ただ、新型コロナウイルスの感染再拡大が12月に新たな混乱を招くと予想されることから、第4四半期(10~12月)の成長鈍化はやむを得ないとしている。また、記録的な水準で供給の遅延が続いているほか、エネルギー価格の高騰も起きているため、インフレ圧力はこれまでで最も高くなっていると指摘。供給の遅れやコスト上昇、新型コロナウイルスの懸念がある中で、景況感は1月以降で最低水準に沈んでいると述べた。
■英はわずかに減速
11月の英国の総合PMI(速報値)は57.7と、前月から0.1ポイント下がった。新規受注の拡大幅は6月以降で最大。雇用は9カ月連続で増えたものの、伸び幅は4月以降で最小水準となっている。仕入れ価格の上昇幅は統計開始以降で最高となった。
製造業PMIは58.2と、前月から0.5ポイント上昇。一方、サービス業PMIは0.5ポイント下がって58.6だった。
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