ドイツ連邦ネットワーク庁(BNetzA)は16日、ロシア産天然ガスをバルト海経由で欧州に輸送する新パイプライン「ノルドストリーム2」の承認手続きを一時停止すると発表した。同パイプラインの運営会社がドイツ法に基づいて設立されていないことが理由としている。
ノルドストリーム2の建設は、ロシアの天然ガス世界最大手ガスプロムがスイスに設立した運営会社を通じて進めてきた。しかし、欧州連合(EU)の規則により、ガス供給業者とパイプラインの所有者が同一であることが禁止されているため、ドイツにノルドストリーム2運営会社の子会社を設立し、同パイプラインのドイツ国内部分の所有権と運営事業を移管する計画を進めている。
同庁は今回、ドイツ子会社にすべての関連資産と従業員が移管されるまで、承認手続きを停止すると発表した。これが完了すれば手続きを再開するが、法律に基づく承認手続きには4カ月がかかるとしている。同庁はその後、暫定的判断を下し、欧州委員会にこれを通知する。欧州委はその後、2カ月以内に承認の判断を下すことになる。
同パイプラインを巡っては、EUのロシア産ガスへの依存を助長することや、ウクライナの輸送料収入減や孤立につながることが懸念されており、欧州委や中東欧諸国が反対している。EUは2019年、同パイプラインの規制を狙い、天然ガス指令を改正し、ガスの供給業者とパイプライン運営会社の分離を義務付けた。
ノルドストリーム2運営会社は、適用除外を求める訴訟を起こしていたが、今年8月にドイツのデュッセルドルフ高等裁判所がこの訴えを退けたため、ドイツ子会社を設立することを決めていた。ただ、フィナンシャル・タイムズによると、法の網の目をくぐるこうした措置を欧州委が承認するかどうかは疑問視されている上、ポーランドなど同パイプラインに反対する国が提訴する可能性もある。
ノルドストリーム2は9月に完工しており、年内には充填(じゅうてん)も完了する予定。承認が下りれば翌日に供給を開始できる状態にある。[EU規制]
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