イタリア政府は19日、2022年度予算案を閣議決定した。経済成長率の引き上げに向け230億ユーロ規模の刺激策が盛り込まれる。政府は減税やエネルギー料金高騰への対策を巡り合意したものの、年金改革についてはまとまらず持ち越された。
予算案では、所得税や生理用品のVAT(付加価値税)などを対象に減税するほか、来年から導入予定だったプラスチック税と砂糖税を23年まで見送る方針。減税の規模は最低80億ユーロと見積もられている。
また、ガスと電気代の高騰に対応するため10億ユーロを拠出する。政府は今年下半期(7~12月)に、料金の上限を設定するエネルギー会社への補償に40億ユーロを振り向けている。
一方、年金改革については、右派政党「同盟」の反対で合意に至らなかった。イタリアでは、年金受給開始年齢を67歳まで引き上げることが決まっていたが、同盟と左派「五つ星運動」がコンテ政権時に、年金加入期間が38年に達していれば62歳で退職できる「クオータ100」を導入。この期限が年内で切れるため、政府は今後の方針を固める必要がある。
予算案ではこのほか、24年まで医療費に年間20億ユーロを追加で拠出する計画や、住宅改修にかかる減税の拡大も盛り込まれた。同案は欧州委員会の承認を経て、議会で審議される見通し。
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