国際航空運送協会(IATA)は4日、2050年までに排出量を実質ゼロ化する目標を打ち出した。同協会には世界の航空会社290社が加盟。これらの企業は、世界の航空交通量の82%を占める。
IATAはこの日、米国北東部ボストンで開催中の年次総会で、この目標を採択した。IATAのウィリー・ウォルシュ事務総長は、「航空業界にとって、ネットゼロは大胆で困難を伴う約束だが、必要でもある」とコメント。「今日に下すべき重要な決断が、未来の世代の飛行する権利を確保することになる」と話した。
IATAは09年6月、50年までに排出量を05年の水準から半減させる目標を打ち出していたが、今回これを大幅に厳格化する格好となる。航空業界がネットゼロを実現するためには、50年時点で年間1.8ギガトン、現時点からの累計では21.2ギガトンの炭素排出を削減する必要がある。
これに向け、まず短期・中期的には、国連の専門機関である国際民間航空機関(ICAO)が進める「国際民間航空のためのカーボン・オフセットおよび削減スキーム(CORSIA)」を利用し、排出量を19年の水準で一定させる。ただ、より長期的には各国政府の政策枠組みの中で、エネルギー転換を含む大規模な変革に業界全体で取り組む必要があるとしている。
具体的には、燃料会社による安価な持続可能な航空燃料(SAF)の大量供給、航空交通管制の効率化、航空機やエンジンの省エネ化、空港運営会社によるSAFの補給インフラ整備が必要になると訴えている。[環境ニュース]
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