130人の死者と数百人の負傷者を出した2015年11月のパリ同時多発テロ事件を巡り、実行犯1人を含む被告20人の初公判が8日、パリの裁判所に設けられた特別法廷で始まった。他の実行犯は現場などで死亡しており、被告のうち19人は共謀罪などに問われている。被害者参加制度には被害者や遺族ら約1,800人が応じ、9カ月間にわたり審理が行われる予定。BBC電子版などが伝えた。
実行犯のうち唯一の生存者であるサラ・アブデスラム被告は、捜査段階ではほとんど黙秘を貫いたため、裁判ではその尋問が注目されている。残り19人の被告は、車やアパートの貸し出し、偽造パスポートの提供、武器入手などの後方支援に関わったとされる。ただ、このうち6人は裁判には不在で、1人はトルコで収監されており、5人はシリアで死亡したとされる。実行犯のうち11人は現場で自爆したか警察に射殺されている。また実行犯に指示を出した主犯格とされるアブデルアミド・アバウド容疑者を含む2人が、仏警察の捜査中にパリ郊外の銃撃戦で死亡している。
捜査は19カ国で行われ、集められた約4万7,000件の宣誓書や陳述書は542冊分におよぶ。今回の裁判の目的は被告人の罪状を立証するだけでなく、事件の真相を明らかにすることにある。証人にはオランド前大統領をはじめ当時の内相や諜報機関の責任者も含まれ、テロが発生した背景にも迫る。また、参加する遺族や生存者は、特別に設けられた5週間の間に証言することが許されている。審理はすべて撮影され、後世のために記録として残される。
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