英競争・市場局(CMA)は2日、英スポーツ用品販売大手JDスポーツ・ファッションによる英同業フットアサイラム(Footasylum)の買収について、再調査の結果、改めて国内の市場競争を大きく損なうとの暫定的な判断を下した。9日までに是正措置を求め、16日までCAMの判断に対する見解を受け付けたうえで、10月に最終決定を下す。
JDスポーツは2019年にフットアサイラムの買収を完了したが、CMAは昨年5月に買収を阻止すると判断し、フットアサイラムの売却を命じた。これに対してJDスポーツが英競争控訴審判所(CAT)に提訴し、CATはCMAの決定には一部不備があるとしてCMAに再検討を命じていた。
CMAは再調査で、新型コロナウイルス感染拡大による影響でオンライン販売が急増したことを含めて、広範な追加の証拠を収集したという。そのうえで、買収により商品価格が上昇して選択肢が減るうえ、顧客サービス改善への投資も減る可能性があると指摘。「現段階では、買収を阻止してフットアサイラムの売却を求めることが、競争上の懸念に対処する唯一の方法となる可能性がある」との見方を示した。
CMAは、ナイキやアディダスなどスポーツウエアの大手ブランドが顧客への直接販売を拡大しているため、小売業者が弱体化する可能性があると認めている。しかし大手ブランドの直接販売との競争が高まる動きは、JDスポーツとフットアサイラムの間の競争に取って代わるには十分ではないと説明している。
これに対してJDスポーツは「CMAがオンライン販売拡大という構造的変化を考慮していない」と批判。同社のピーター・カウギル会長は、CMAの判断に失望感を示すとともに、最終決定までにCMAが再考するよう強く求めている。
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