欧州連合(EU)が導入を予定する「炭素国境調整メカニズム(CBAM)」、いわゆる「国境炭素税」の影響を最も受けるのは、ロシアからの輸入品のようだ。これに対し、中国や米国からの輸入品に課される炭素価格はさほど高くならないとみられている。環境シンクタンクのサンドバッグ(Sandbag)とE3Gが8月31日、共同調査に基づきこうした見通しを明らかにした。
CBAMは、鉄・鉄鋼、アルミニウム、肥料、セメント、電力をEU域外から輸入する際に、輸入業者にEU排出権取引制度(EU―ETS)で課される炭素価格に対応する炭素価格の支払いを求めるもの。2023年に予備的に導入した後、26年の本格運用に伴いEU―ETSの排出枠無償割り当てから段階的に置き換える予定で、35年には無償割り当てがゼロになる。
CBAMの対象となる輸入品は全体の3.2%にすぎないものの、その二酸化炭素(CO2)排出量はEU企業に割り当てられた無償排出枠の47%に相当するという。
両シンクタンクの調査によると、ロシアからの輸入にかかる炭素価格は26年までに4億4,200万ユーロに達し、35年には18億8,400万ユーロに上ると見積もられている。そのほとんどは鉄・鉄鋼と肥料、アルミニウムが占める。
35年時点では、ウクライナとトルコからの輸入にそれぞれ8億7,000万ユーロ、8億2,400万ユーロの炭素価格が課される。一方、EUの最大の輸入先である中国は4億8,400万ユーロ。米国は9,400万ユーロにとどまっている。[環境ニュース][EU規制]
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