金融情報サービス会社IHSマークイットは23日、8月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が59.5となったと発表した。過去15年で最高を記録した7月から0.7ポイント低下したものの、高水準を維持。景気の「改善」と「悪化」の境目である50を6カ月連続で上回っている。
ユーロ圏の製造業PMIは61.5と前月から1.3ポイント低下し、過去6カ月で最低を記録。生産高の増加幅はサプライチェーン(調達・供給網)の遅延を背景に、2月以降で最も縮小。新規受注は引き続き増えたものの、雇用ペースは5月以降で最も減速した。仕入れ価格の伸びは3カ月ぶりの水準に緩和したが、出荷価格は引き続き高騰した。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは62.7と前月から3.2ポイント低下。フランスは0.7ポイント下がって57.3だった。
ユーロ圏総合指数のうち、新規受注は需要拡大を受け過去20年で最高の水準を維持した。雇用は7カ月連続で増加。仕入れ価格は力強く伸び、出荷価格の上昇幅は過去最高に迫る勢いとなった。
■サービス業も高水準維持
ユーロ圏のサービス業PMIは59.7と前月から0.1ポイント低下。国別ではドイツが61.5と0.3ポイント下げたが、引き続き高水準を維持した。フランスは0.4ポイント下がり56.4だった。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは今回の結果について、新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」のまん延が需要の抑制や供給に影響を及ぼしたものの、規制のさらなる緩和により企業が恩恵を受けたとコメント。一方、サプライチェーンの混乱継続や、企業が需要拡大に対応しきれないことで、さらなるコスト圧力が発生する可能性を指摘した。これが商品とサービスの平均販売価格の記録的な上昇につながったとした半面、インフレ圧力がすでにピークに達した兆候もあると推測。ただ、市場の回復に伴う賃金上昇がインフレ率の高まりを招き得るほか、アジアからの供給遅延が当面続くことが懸念材料とした。
■英は3カ月連続で低下
8月の英国の総合PMI(速報値)は55.3と、前月から3.9ポイント低下。新規受注は伸びが減速したが、雇用は1998年1月の統計開始以降で最高の上昇幅を記録した。事業見通しは依然として楽観的な範囲にあるものの、回答企業からは人材不足やサプライチェーンの遅延が混乱を招いているとの指摘もあった。
製造業PMIは60.1と、前月から0.3ポイント低下。サービス業PMIは4.1ポイント下がって55.5だった。
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