ホンダのイングランド南部スウィンドンの工場が、7月30日をもって生産を終了する。36年にわたり地域に根付いた工場の閉鎖だけに、その影響は地域経済全体に及ぶ見通し。同市は新たな経済基盤を模索することになる。BBC電子版が28日伝えた。
同工場の従業員は3,000人に上るほか、地場の供給業者2社も約1,800人を雇用する。現地のリクルート企業によると、人数的にはこれを受け入れる就職口があるものの、従来並みの賃金は期待できない。従業員の一部は既に、地場リサイクル企業などが引き受けている。
同工場の従業員には、勤続年数に6週間半の賃金をかけた退職金と各種手当が支給される。労組関係者は「前例のない手厚い待遇」と評価している。
工場跡地は、欧州などで不動産開発業を展開するパナトニに売却される。引き渡しは22年春の予定。同社はハイテク倉庫が立ち並ぶ流通団地を得意とし、オンライン小売りの好調を背景に、スウィンドンの新たな経済の担い手としての期待がかかる。パナトニは7億ポンド超を投資して再開発を行う計画で、数千人の雇用創出につながるとしている。
ホンダのスウィンドン工場は1985年の設立。ホンダの欧州唯一の生産拠点として「シビック ハッチバック」などを手掛け、最盛期には1日680台を出荷した。進出当初は英自動車製造業の水準の低さに苦慮したものの、急ピッチで改善に取り組み、2019年には同社の全工場の中で最も高い生産性を実現した。
しかし、欧州新車市場が世界の他の地域と比べて落ち込む中、英国の欧州連合(EU)離脱決定で先行き不透明感も拡大。こうした中、同社は19年2月、世界的な電動化の動きに対応するためのグローバル生産体制見直しの一環として、同工場の閉鎖を決めた。[日本企業の動向][労務]
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