金融情報サービス会社IHSマークイットは23日、7月のユーロ圏総合PMI(購買担当者景気指数、速報値)が60.6となったと発表した。6月から1.1ポイント上がり、過去21年で最高を記録。景気の「改善」と「悪化」の境目である50を5カ月連続で上回っている。
ユーロ圏の製造業PMIは62.6と、前月から0.8ポイント低下。新規受注は引き続き増え、雇用の伸びは高水準を維持。仕入れ価格は1997年の統計開始以降で最高に達し、出荷価格は6カ月連続で上昇した。
製造業PMIの国別データを見ると、ドイツは65.6と前月から0.5ポイント上昇。フランスは0.9ポイント下がって58.1だった。
ユーロ圏総合指数のうち、生産高の増加幅は過去21年で最も大きく、新規受注は2000年5月以降で最大の伸びを見せた。雇用は6カ月連続で増加。仕入れ価格の上昇幅は過去最大に迫る勢いで、出荷価格は6カ月連続で上昇した。
■サービス業は明暗分かれる
ユーロ圏のサービス業PMIは60.4と前月から2.1ポイント上昇し、過去15年超で最高を記録。国別ではドイツが62.2と4.7ポイント伸び、1997年6月以降で最も高い。半面、フランスは0.8ポイント下がって57だった。
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは今回の結果について、新型コロナウイルス規制のさらなる緩和とワクチン接種の進展により、特にサービス業が活況だったとコメントした。一方で、製造業では、サプライチェーン(調達・供給網)の遅延が依然として大きな懸念材料で、コスト上昇がインフレ率の加速につながる可能性を指摘。インド由来の変異株「デルタ株」の感染拡大は事業見通しに悪影響を与えているとし、今後さらなるサプライチェーン遅延とコスト上昇を引き起こす要因になり得るとした。
■英は低下も高水準
7月の英国の総合PMI(速報値)は57.7と、前月から4.5ポイント低下。新規受注と雇用はいずれも伸びが減速した。事業見通しは依然として楽観的な範囲にあるものの、経済回復が減速するとの懸念から過去9カ月で最低となった。
製造業PMIは60.4と、前月から3.5ポイント低下。サービス業PMIは4.6ポイント下がって57.8だった。
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