英政府は20日、電力・ガス系統の脱炭素化に向け、中立的なエネルギーシステム管理機関を新設する方針を明らかにした。電力・ガス系統の計画・開発や競争促進といった役割を担う見通しで、送電大手ナショナル・グリッドから一部機能を移管する格好となる。
新機関の名称は「フューチャー・システム・オペレーター(FSO)」。民間企業・エネルギー・産業戦略省とエネルギー業界の監督機関Ofgemはこの日、FSO設立計画を巡る意見公募を開始した。
政府は、「ガス・電力系統は現在、ナショナル・グリッドの一部だが、利害対立の恐れがあり、既存の役割・機能や、排出量実質ゼロ化の達成に必要な新たな役割の効果的遂行を困難にしている」と指摘。専門家から成る中立的な独立機関FSOを設立することにより、こうした問題を解消できるとしている。
政府の計画によると、FSOはナショナル・グリッドの電力系統運用子会社ナショナル・グリッドESO(NGESO)に代わり、電力系統の運用を手掛ける。ガス系統については、全体的な運用は引き続きナショナル・グリッドが担うものの、長期予測や戦略的ネットワーク計画など一部機能はFSOに移管するとしている。
政府はFSOについて、「他の商業的エネルギー事業だけでなく政府の日常的な運営管理からも独立した機関であることが必要」と説明。「FSOは消費者や、最終的には国民に対する説明責任を負う」としている。FSOを民間事業者とするか公的機関とするかは、まだ検討中としている。
ナショナル・グリッドは、ガス・電力系統の運用管理に加え、国内インフラを所有するほか、フランス、ベルギー、オランダなど諸外国との電力取引に用いられる海底ケーブルの開発も手掛ける。政府が2017年に電力・ガス部門の見直しを行った際には、同社は分割を免れたものの、電力系統の運用事業の分離を求められ、これを受け19年にNGESOが設立されていた。[環境ニュース]
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