主要20カ国・地域(G20)は9、10両日、イタリアのベネチアで財務相・中央銀行総裁会議を開き、企業に対する新たな国際課税制度の大枠で合意した。新制度は、各国共通の最低法人税率を15%以上とする案と、大手テクノロジー企業などへの課税権限を売り上げが発生した国に与える案を2本の柱とする。この大枠には、既に世界132カ国・地域が合意しており、10月のG20首脳会議(サミット)での最終的な承認を目指している。
G20財務相・中銀総裁会議で採択された共同声明では「より安定的で公正な国際課税制度に関する歴史的合意を達成した」と表明。10月までに新制度の詳細を固めるよう経済協力開発機構(OECD)に求めるとともに、まだ大枠に合意していない国・地域に対し、合意に加わるよう呼び掛けた。
新制度は、OECDが過去10年近くにわたり協議してきたもので、2023年の発効を目指している。柱の一つは、年間売上高200億ドル以上、利益率10%超の多国籍企業に対し、実際に売り上げが発生した国が課税できるようにするもので、米グーグルやアップルなどの巨大IT(情報技術)企業を念頭に置いている。
一方、最低法人税率を15%以上とする案は、売上高7億5,000万ドル以上の企業が対象となり、海運業のみが免除される。
新制度の大枠には、OECDが主導する議論に参加する139カ国・地域のうち132カ国・地域が合意しているものの、低税率国のアイルランドやハンガリー、エストニアなどはまだこれに参加していない。ガーディアンによると、イエレン米財務長官はこれについて「すべての国の参加が必要不可欠ではない」とコメント。「この合意には、抵抗する国が国際合意の運用を妨げないようにする機能が含まれている」と話している。
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